「炭椀」2008
素材:ボロボロになったお椀
野菜を切る包丁の軽やかなリズム、味噌汁がクツクツと煮える音、ご飯の炊き上がったにおい。食卓を包んでいる空気は、私を温かい気持ちにしてくれる。その中で、毎日使っている食器だが、自分の食器というものもまた、大きな安心感を与えてくれる。そこで、私が小学生の時から15年間使い続け、ボロボロになったお椀を新たな物へと、そして思い出の上に思い出を重ねてゆける様な物に作りかえてみようと考えた。手法は、燃やしてしまうという一見、思い出を残すのとは正反対の方法である。しかし、お椀の表情はがらりとかわり、尚且つ、もうこれ以上決してかわらないモノにすることができる。有機物から無機物へ。思い出は新たなる思い出へ旅立つ。「炭椀」の完成である。
第二回再生デザイン大賞 優秀賞受賞
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